「相性悪い」消費増税と株価=株安を警戒-市場関係者 時事 2019年03月27日07時04分

消費税率10%への引き上げまで、あと半年に迫った。金融市場関係者の間には「消費税増税と株価の相性は悪い」(三浦誠一・三菱UFJモルガン・スタンレー証券投資ストラテジスト)などと、株価下落を警戒する声が広がっている。


 これまでに消費税率が引き上げられた1997年と2014年は、実施の3カ月程度前から日経平均株価が下落。駆け込み需要の反動による消費の落ち込みを先取りする形で、下げ幅が拡大した。
 消費税増税直後の4~6月期の実質GDP(国内総生産)は2度とも、前期に比べ大幅なマイナス成長に落ち込んだ。「増税が景気や株価に悪影響を与えるのは確実だ」(中堅証券)というのが、市場関係者の共通認識となっている。

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 今回の消費税率引き上げに伴い、政府は財政支出などで手厚い対応を検討。秋にはラグビーのワールドカップ(W杯)が開催されるなど、訪日外国人旅行者(インバウンド)需要の取り込みによる景気へのプラス効果もある。三井住友アセットマネジメントの宅森昭吉チーフエコノミストは「国内景気が腰折れするとは考えていない」と話す。


 しかし、対策の柱の一つである公共投資は、家計への波及効果が限定的。消費意欲の減退を防ぐ、プレミアム付き商品券の配布といった財政対応も恒久的に続くわけではない。大和総研の小林俊介エコノミストは「19年度後半から20年度に向けて段階的な消費の落ち込みが想定される」と指摘。景気の先行き懸念は払拭(ふっしょく)されていない。


 世界的な景気の減速感が鮮明になる中で、最近の株価はマイナス材料に反応しやすい状況が続く。消費税率の引き上げが近づくにつれ、株価の不安定さが増す可能性もありそうだ。(2019/03/27-07:04)